序 事件背景等
事件背景
- 1979年、サンディニスタ革命成功 米国の裏庭に左派国家が誕生
- 米国、政権打倒・親米政権誕生を目指して工作活動開始(with CIA)
- 案の定(?)露見
- ニカラグア『米国によるニカラグア港湾への機雷敷設やその他軍事行動、およびコンタドーラ中米相互防衛体制の軽視を非難する決議』を採択するよう安保理に要請
- 米国の拒否権発動によってあえなく廃案(1984年4月4日)
- 違法干渉行為の停止等を求めて米国をICJに提訴
一方的提訴
当時は米国も強制管轄を受諾していたため可能だったが、本件敗訴を機に受諾宣言を破棄したので現在は不可能である。
論点
*ICJ規程は「規程」、裁判所規則は「規則」と表記
被告(米国)の不出廷
- 規程53 条、当事者の平等
裁判所の管轄権
- 規程36条2項に基づく米国の強制管轄受諾宣言に対する多国間条約の留保の適用の影響
- 多国間条約に基づく紛争についての裁判所の決定によって「影響を受ける」第三国
- 管轄権に対する、専ら先決的でない抗弁の性質(規則79条)
- 紛争の司法適合性...「法的紛争」(規程36条2項)。
考慮されるべき要素
- 挙証、関連する期間、裁判所の権限、報道および公知の事実、国の代表者の陳述、証人の証拠、黙示的了承、規則手続に従って提示なされなかった資料
被告国による非難されるべき行為
- 港湾への機雷敷設 、石油関連施設その他の目標に対する攻撃 、領空侵犯 、反政府武装集団の支援 、人道法原則に反する行為の奨励 、経済的圧力
正当化原因
- 国際責任阻却事由、正当化可能性 、原告国の帰責性
適用法
- 国際慣習法、国際慣習法と条約法との関係、国際連合憲章、特に重要な国際連合総会及び米州機構総会決議
- 国際関係において武力による威嚇または武力行使を禁止する原則、自衛の固有の権利、行使の条件、個別的自衛権と集団的自衛権、武力攻撃への対応、武力攻撃の対象となったことの宣言と集団的自衛権行使の要請
- 内政不干渉原則、原則の内容、法的信念と国家実行、武力攻撃に至らない敵対行為に対する集団的対抗措置の問題
- 国家主権、領土、領空、内水及び領海、外国船舶の入港権
- 人道法の原則、1949年ジュネーブ諸条約、適用されるべき最低基準、人道法に反する行為を奨励しない国家の義務、機雷の存在と位置の通知
- 人権の尊重、政治体制、イデオロギー、同盟関係を選択する国家の権利
- 1956年米=ニカラグア友好通商航海条約、裁判所の管轄、条約の目的と目的を損なうような行為をしてはならないとする慣習国際法上の義務、関連条項の検討
- 賠償請求
- 紛争の平和的解決原則
裁判所の構成
裁判所
- 裁判所長 ナゲンドラ・シン
- 副裁判長 ド・ラシャリエール
- 裁判官 ラックス、ルダ、エライアス、小田、アゴー、セッテ・カマラ、シュウェーベル、ロバート・ジェニングス卿、ムバヤ、べジャウィ、ニー、エベンセン
- 特任裁判官(ニカラグア) コリアール
- 書記官 トレス・ベルナルデス
ニカラグア共和国
代表
- カルロス・アルギュエロ・ゴメス大使
代理人兼弁護士
- イアン・ブラウンリー(Q.C. F.B.A.、オックスフォード大学名誉教授、オックスフォード エイル・ソウルズ・カレッジフェロー)
- フォン・アブラム・チェイズ(ハーバード大学法学部名誉教授、アメリカ人文科学アカデミーフェロー)
- アラン・ペレ(パリ・ノール大学教授、パリ政治学院教授)
- ポール・S・ライヒラー(ライヒラー&アペルバウム、米国最高裁判所弁護士、コロンビア特別区弁護士)
弁護人兼弁論者
- ニカラグア共和国外務省法律顧問 アウグスト・ザモラ・ロドリゲス
- ミス・ジュディス・C・アペルバウム(ライヒラー&アペルバウム、コロンビア特別区及びカリフォルニア州弁護士)
- デイビッド・ウィップマン(ライヒラー&アペルバウム)
米国
欠席(不出廷)
本件裁判は上記の通り構成され、裁判所は次の通り判決する。